小説置き場(借)

えっちな小説でもそのうち。

『可愛い妹のため』

健全な小説。
オリキャラ成分あります。

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俺には行き付けの喫茶店がある、結構な頻度でやってくる所で、友人が経営する小さな喫茶店だ。

今日も勿論来たのだが……見覚えある白髪の女の子がカウンター席に座り、コーヒーを飲んでいた……溜め息をついてる。

「ようセリア、珍しいな喫茶店に」

「あ、ガーフィス先輩……」

彼女の名前はセリア、俺にとっては最早妹みたいな子で……実質的な家族みたいな感じだ。

「やぁガーフィス君、いつも通りだな」

「あぁ、リアンもこの喫茶店も相変わらずみたいだな……今日もコーヒー頼む」

「場合によっては、変わらないのもまた良い事なんだぞ?コーヒーね」

そう言ってコーヒーを淹れ始めるエプロンを着けた彼女はリアン、先ほど言った喫茶店を経営するマスターで、俺の友人でもある。

「……それでセリア、さっき溜め息をついてたが何かあったのか?」

「え!?あ~……それは~……」

「……折角だ、この際、彼にも相談に乗って貰ったらどうだ、セリアちゃん?」

セリアは明らかに言葉を詰まらせていたが、リアンがコーヒーを淹れつつそう言うと少しずつ話始めてくれる。

「実はですね……」

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話を纏めるとこうだ。

一週間程前から、隣のクラスの男子生徒に何度もデートに誘われているらしい、勿論セリアは毎回断ってる様だが……

「あんまりにも何度も誘われるので、流石にちょっと参ってきてしまって……その人、あまり好きな訳でも無いですし」

デートに誘われる事自体は良い事ではあるが、好きでは無い男子、ましてやセリアが断っててもしつこいとなると……このまま野放しには出来ないな、後々厄介な事になりそうだ。

「……因みにセリアちゃんはな、君やミラちゃんに心配を掛けたくなくて、わざわざ私の所に相談に来てくれたんだ」

「ちょ!?その件は秘密にしとくって言ったじゃないですかリアンさんっ!」

「良いじゃないか、結局は彼が相談に乗ってくれたんだから……はいコーヒー」

ケラケラと笑うリアンと、気恥ずかしいのか顔を赤くしたセリアはそんな会話をしつつ、リアンは淹れ立てのコーヒーを俺の前のカウンターに置く。

しかし対処法か……うーん……コーヒーを一口飲みつつ試行錯誤してると、ある1つの案が思い浮かんだ。

「この方法ならイケるかもしれないな……セリア、今週の日曜は空いてるか?」

「え?えぇ、空いてますけど……」

「じゃあ日曜、そいつを公園に呼び出してくれ、そこで諦めさせよう」

頭に「?」を浮かべるセリアだが、リアンはどうやら俺の考えてる案を理解したらしく、フフっと笑みを浮かべる。

「なるほど……その案なら彼も諦めがつくかもな……頑張ってくれよ」

「リアンにも手伝って貰うぞ?それに他にも何人か必要だな……電話してみるか」

「えっ、わ、私もなのか?」

この策を成功させる為、俺は急遽知り合いの何人かに電話を掛け、協力を仰ぐのであった。

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遂に日曜日が来てしまいました……今私は公園のベンチに座り、呼ばれてやってくる彼を待っています。
話をする為に男子を呼び出してくれ、とはガーフィス先輩達に言われましたが……正直不安でしかありません、呼び出した事は呼びましたけど。

「おーい、セリアちゃん!」

そんな事考えてるとその人が公園にやってきて、私の方に歩いて来ました。
自分もベンチから立ち上がり、その人に近付きます。

「どうも、今日はいきなり呼び出しちゃってすみません」

「いやいや良いんだよ、どうせ暇してたし!それで……話って何かな?」

早速彼は本題の話を聞いてきます、ガーフィス先輩達はまだ居ませんし、ここは私が時間を稼げ……って事でしょうかね?

「まぁこんな所で立ち話とかもアレだしさ、どこか落ち着ける場所とか……」

彼がそう言っていると、肩をポンと後ろから誰かに軽く叩かれました。

「やぁ探したよ、こんな所に居たんだ」

あれ、この声は……私は即座に振り返ります、そこに居たのは……

ウィッグであろう黒のロングヘアーを後ろに1本結び、ベージュ色のコートに黒のワイシャツとジーンズ、そして黒のサングラスとパッと見はわかりにくいですが、男装したミラ先輩が居ました。
(包帯を着けてない代わりに右側の前髪が少し長く、その前髪とサングラスで右目を隠してる様です)

「え…あの、アンタは……?」

流石の男子生徒も目の前にいる、いかにもヤバそうな男性を見て驚き、直後に不審そうな表情でミラ先輩を見ます。

……こう見るとマフィアの若いボスにしか見えなくなってきますね、ミラ先輩。

「……あぁ、君がセリアから聞いた男の子か、丁度此方も会いたかったんだ」

いつものミラ先輩とは明らかに違う、かなり低い男らしい声で喋ります、そしてサングラス越しとはいえ、鋭い目付きに……何だかこの声、凄く格好良くて癖になっちゃいそうですね……!

「実はセリアは俺の彼女でね、他の男にデートに何度も誘われてると聞いたら……少し妬いてしまうんだよ」

そう言ってミラ先輩はグイッと肩を引き寄せます……えーと、つまり既にカップルなのを彼に示し、諦めさせる感じなのかな……?演技とはいえ、何だかドキドキしてきちゃいますね~……えへへ。

「そ、そうなんすか……にしても彼氏が居たとは……ははは……」

ガサッ

その時、私達の周囲で物音が立ちます、周りを見渡すと……サングラスにスーツ姿のガーフィス先輩やリアンさんの姿が木の影に隠れる様にありました。

此方としては普通に見える角度ですし、スーツの内側からは銃が少しはみ出てます……まるで凄い権力者と言うか、マフィアのボディーガードみたいですね……

「そう言う訳だから、あくまでセリアとは、たまに話す友人関係で居て欲しいんだ、どうだい?」

「……あ、あぁ…わかった、ごめんねセリアちゃん、しつこく誘っちゃって……」

「え?あ、えぇ大丈夫ですよ!私も最初からこの関係なのを、早く言えば良かったですね……」

そう伝えると男子生徒はそそくさと立ち去って行きました。

「……ふーっ、ちょっとやりすぎなんじゃないかな、ガーフィス?」

彼が立ち去って少しすると、息を吐きミラ先輩がサングラスを外しつつ、いつもの声でそう言います。

「そうでもないだろ、何度断られても誘ってくるくらいだ、これくらいしないとまた同じ事を続けるだろうし」

「彼の言う通りだ、この際少し強めにやった方が無難だと思うぞ」

ガーフィス先輩に続く様にリアンさんもそう言います……うーん、でも本当に良かったんですかね……?

「あれ、でも何故ミラ先輩がこの役を?凄い似合ってましたけど」

「あぁ、俺が説明するが……男は二人居れば威圧感が凄いだろ?だからミラに男装して貰った上で彼氏役を頼んだんだ」

ほほー、確かにそれもそうですね……この姿のミラ先輩なら確かに正真正銘の男性に見えますし。

「ミラちゃんがスーツを着ると腰回りで女性ってバレてしまうからな」

「あはは、嬉しいのやら悲しいのやら……ブカブカなスーツだと、あんまり男らしく見せられないからねぇ」

リアンさんがミラ先輩の腰をサワサワしつつ、ミラ先輩はそう言います。
確かにミラ先輩はスタイル良いですもんねぇ、腰回りとか……

「今は14時か……よし、それじゃ不安の種も一応消えたし、皆でデザートでも食いに行くか!」

「お、良い案じゃないかガーフィス君、デザートをチョイスとは……乙女心をわかってる辺りモテるぞ~」

ガーフィス先輩の提案にリアンさんも中々ノッてます。デザートかぁ……えへへ、確かにこの時間には甘い物が食べたくなっちゃいます!

「それなら良い店を知ってるよ、最近出来たパンケーキが売りの店らしくてね……楽しみだね~セリア?」

「おぉー、パンケーキですか!パンケーキは好きなので、とても楽しみです!」

私は男らしい姿のミラ先輩と手を繋ぎつつ、先を歩くガーフィス先輩とリアンさんに着いて行く形で、歩を進めるのでした。

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後日談としては……アレから隣のクラスの男子生徒さんからはお誘いは来なくなり、たまに会話する程度の関係になりました。

ただ時折、彼氏(男装したミラ先輩の事)が凄くかっこよかった、また話したいと言ってますが……話す時がまた来るんでしょうかね?

因みにパンケーキはとっても美味しかったですよ!今度は知り合い皆で来ようって話になりました、楽しみです!

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おしまい。